告訴状作成・刑事告訴手続き
項目
1.「告訴は重い」
2.「告訴状と被害届の違い」
3.「証拠品について」
4.「告訴状の作成、提出の際の注意点」
書いた人

行政書士明和事務所
行政書士 吉田 重信
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はじめに言っておく。
ウチでは一見の方からの刑事告訴手続の単品注文は受け付けていない。
というかダメだよ、告訴なんて重たい手続、
ネットでサクッと見つけた業者にポン付けで依頼するようなことをしちゃあ。
まぁ、僕が言うことじゃないかもしれないけれど。
たしかに、いつでも必要な時に声をかけられるコンビニエンスな窓口は必要だと思う。
でも、こんなものはネットで気軽にポチるようなもんじゃない。
そういうインスタントな感覚で人を告訴するような社会になるのは、ゴメンだね。
そんなんだったら、依頼なんかはじめから来なくていいとさえ思っている。
そんな手段に出ることを考える前に、
それをせずに済む方法はないかを必死で考えることも大事だろう。
ただ、事例によっては、警察介入がどうしても必要なケースもある。
特にここ最近で起こっている社会問題は顧客とサービス提供者といった間柄に関係なく、
ジェノサイドじみているというか、ドン引きするほど破壊的な事件も増えているからね。
近頃じゃ警察もさすがに一般常識だけでは判断しきれないと思っているのか、
突拍子もないような案件についても真剣に話を聞いてくれるようになってきてはいるな。
ただ、問題の類型によっては告訴なんかよりも警察への相談や被害届で留めておいた方が、
かえって相手に対する抑止効果を期待できる場合もある。
そういった面も含めて告訴をすることが必ずしも正しいとは限らないから、
なにか被害に遭っている方はまず告訴、とは言わず、一度相談に来てもらいたい。
問題解決後の生活も考えた上で、アドバイスをさせてもらう。
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告訴状は被害届とは違い、受理された場合は警察に一定の義務が発生する。
告訴状の受理によって発生する義務
・告訴に関する書類・証拠物の検察官への送付義務
・起訴・不起訴処分を告訴人に通知する義務
・不起訴理由について請求があった場合は告知する義務
要は告訴状を受理してもらえば、
事件が捜査されずにずっと放置されるようなことはないということだ。
だから、必ず警察に動いてもらいたい、という方には告訴手続を行うといいだろう。
ただ、実際のところ警察もいわゆる「民事崩れ」案件の刑事事件を避けるため、
告訴状の受理に関してはかなり慎重になっている面もあるな。
そういった理由もあってか、いきなり告訴の相談に行ったとしてもまずは被害届を、と、
告訴の予備的意味合いで被害届の提出を促されるようなケースも少なくない。
また、警察は捜査をして犯人を逮捕、という段階になってから、
告訴人の都合で告訴を取り下げる、といったケースを非常に嫌う。
これまでの捜査の苦労がすべて水の泡になるだけでなく、
警察に民事上で自己の立場を優位にする手伝いをさせているようなものだからね。
「民事不介入」という言葉、聞いたことくらいはあるだろう。
原則として警察は事件になっていない段階では、
対人間のトラブルに直接関与することはできないことになっている。
公権力と人権との兼ね合いによる難しい問題だから、
一言で説明することはできないけれど、ひとまず、警察にも立場があるんだ。
だから、犯人処罰以外の他意を持って告訴手続に臨んでも、
警察はどうすることもできないし、相手にもされないだろう。
これについて「警察は役立たず」とカンシャクを起こしても、仕方のないことだ。
あくまでも犯罪捜査の依頼を目的として「処罰の意思」を明確にして訴えること、
それが告訴状を受理してもらうための重要なポイントだということを覚えておくといい。
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本来、証拠集めは警察の仕事だ。
我々一般市民には事件に対する「捜査権」がないから、
個人で証拠をかき集めるにしても限界があるからね。
ただ、実際問題として、悪質な営業活動等に絡んだ犯罪行為は詐欺や横領等、
加害者の内心が問題となるような犯罪類型が多い。
この手の証拠は警察でも用意するのが困難だ。
だから、犯罪の事実に対して説得力を与えるだけの明確な証拠はもちろんのこと、
捜査をする上で有用となりそうなものはできうる限りこちらで側でも用意する必要がある。
告訴状のみ作成して提出しても、受理されるのは難しいと思った方がいいだろう。
告訴状に添付すべき証拠品は、告訴状に記載した事実を立証するためのものなどがある。
例えば、犯人の住民票や勤務先の商業登記簿等、犯人を特定するために必要なものや、
メールや手紙、録音音声、銀行口座の履歴、登記簿、契約書等、事実関係を立証できるものだね。
中でも強力なのが共犯者等の供述によって作成された、陳述書、顛末書だ。
加害者側の共犯者が協力なんかするわけないだろ・・・と思うかもしれない。
しかし、これもケースバイケースだ。
協力させる方法はある。
共に犯罪を行った連中が、いつまでも仲良しこよしでいられるかという話だわな。
犯罪を犯すような人間はなんらかの病気である可能性もあるけれど、
そうでない場合は己の利益に対してトコトン忠実であり、不利益には非常に敏感だ。
共犯者がいる場合、お互いにそういう状態なんだよ。
なんらかの被害に遭った人は相手が単独犯であるかどうか、よく観察した方がいい。
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告訴状を作成する際に最も留意すべき点は、
事実のみを簡潔かつ客観的に記載する、ということだ。
当たり前の事だと思うかもしれないが、自分で作成するとなるとこれが結構難しい。
なにかと主観的な意見や思い込みなんかを盛り込んでしまいがちになるからね。
告訴状を受け取る相手(警察や検察)は事情をまったく知らない第三者だ。
主観に偏りすぎている告訴状は基本的に受理してもらえないと思った方がいい。
また、あまり誇張させすぎた被害申告は名誉毀損等に該当してしまう可能性もある。
捜査機関にはあくまで事実のみを伝えるよう注意が必要だ。
なお、告訴は警察に対してだけでなく、検察庁に対してもできる(刑事訴訟法241条)。
一般的に警察への告訴は受理されにくいと言われているけれど、
検察庁への告訴は手続面で不備がなければ、比較的受理されやすい傾向にあるようだね。
じゃあ、検察に告訴した方が手っ取り早いじゃん、と思うかもしれないけれど、
物事はそんなに単純じゃない。
事件の類型によって向き、不向きがあるんだよ。
検察は、いわば法律家集団。
税法、商法等の専門的な法律知識を要する事件や、犯人が専門家である事件等、
その処理に高度な法的判断を要する事件が得意な窓口だ。
また、検察官には法律家としての身分保障がされている関係もあって、
警察組織に対して政治的圧力が加えられるような事件に強いという面もあるな。
ニュースなんかで政治家や専門家が捕まったりする場合、
大抵、地検の特捜が動いているだろう。
そういう政治的影響力を持っている人間が犯人である犯罪に対しては、
立場上の弱みがない等の事情もあって、彼らは特に強いんだ。
そのかわり、暴行や傷害、現行犯等、
現場での判断が重要となるような事件を捜査してもらう場所としては不向きだな。
これは単純に検察の人員が不足しているというマンパワー的な事情もあるけれど、
検察にいる人達の人種的な意味合いで、という事情もある。
まぁ、頭の良い人達は頭の中だけで物事を判断しがちだからね。
現場主義的な考え方が重要となる事件を直告するとなると、
やっぱり、ちょっと不向きかな、とは思う。
もちろん、対応が不可能というわけではないのだろうけれど。
彼らにはやはり難しい物事の認否を、
頭の中で判断するような事件をお願いする方が向いていると思う。
その点、警察は検察に比べて組織力が高い。
関係者の所在確認や追跡調査等の組織的対応を要する分野、
暴力団に関する内偵、捜査や、暴行、傷害犯等に対する身柄の拘束や取調べ等、
現場捜査官の独自のノウハウが必要とされる類の捜査を得意としている。
ただし、彼らには検察官のように捜査官個人に対しての身分保障がない。
だから、組織に対して圧力を加えてくるような可能性のある政治家や、
行政機関等が絡んだ事件に対して、組織的な弱点を抱えているという問題がある。
あと、大事なこととして、もう一つ。
警察の現場捜査官には事件として扱うか否かについて、
高度な法的判断を要する事件を受理してもらうのは難しいと思っておいた方がいい。
いかに刑訴法で原則、受理が義務付けられているからといって、
全ての案件を窓口で個別に捌けるわけじゃない。
民事か刑事か微妙な案件を事件として取り扱うべきかどうかを、
所轄の警察署に常駐している現場捜査官に判断させるのは、やはり酷だよ。
無論、彼らも仕事で事件を扱っている身には違いないから、
刑法を初めとした一般的な刑事罰法規は当然、把握した上で業務を行っている。
でも、個別具体的な事例に対する法的判断。
たとえば、それが詐欺にあたるか、起訴まで持ち込めるだけの案件かなんて、
その場で判断をつけられるわけがない。
本来、最終的な判断は検察官がすべきことなのだけれど、
現場の人達にだって一定の裁量権はある。
でないと、仕事にならないからね。
そういう場合は、やはり彼らの立場上、
捜査義務が発生してしまうような告訴状の受理はしにくいんだ。
特に悪質営業は自分達の日頃から行っている行為を、
詐欺として立件することが難しいことを知った上で立ち回っているようなきらいがある。
だから、もし、窮迫している複雑な事件に巻き込まれているようであれば、
検察への直告もふまえて対応を検討した方がいいだろう。
ちなみに、ウチでは検察への告訴は取り扱っていない。
これは業際上の問題でもあるが、それだけじゃない。
そもそも、検察に直告しなければならない事件の場合、
訴訟上での扱いも検討した上での個別の法的判断を要するケースがほとんどだからだ。
ウチでは少々、手に余る。
検察への告訴を望んでいるのならば、やはり弁護士に相談した方がいいだろう。
繰り返しになるが、一般的に詐欺罪での立件は難しい。
悪質営業もそれを承知の上でことに及んでいる場合がほとんどだ。
ただ、
こちらの狙いが当初からそこではないとなると、
ちょっと話が変わってくるよな。
対策っていうのは、そういう背景も踏まえた上で検討していくものなんだよ。
長々と書いたけれど、要は遭遇した事件の類型にあった捜査機関を選択した方が、
より解決に向けた結果が期待できるということだな。
告訴状の受理のされ易さのみを重視するのは、
あくまでも犯人の確実な処罰を望んでいるのであれば本末転倒な対応の仕方だと思う。
なにを目的に告訴をするのか、告訴をする前に今一度よく考えた方がいい。
刑事告訴をする上で最低限確認しておくべきこと
・犯人の名前、住所、もしくは勤務先等の身元
・誰が(犯罪の主体)、いつ(犯罪の日時)、どこで(犯罪の場所)、
なにを、誰に対し(犯罪の客体)、どのような方法で(犯罪の方法)、
なにをしたか(犯罪行為と結果)を、できうる限り明確にしておく
・該当する犯罪の類型
・公訴時効を過ぎていないか
・上記の出来事を証明する物的証拠の存在
・証人、共犯者の有無
刑事告訴手続き費用
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告訴状の起案・作成
83.000円
添付書類作成(請願書・陳述書・顛末書等)
33.000円
警察署への提出付き添い(告訴状起案から依頼された方に限る)
12.000円+交通費
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何度も言うが、告訴は「重い」。
これは行為的な意味合いで、というのももちろんだけれど、
単純に法的な面や手続き的な面から見た上での意味合いでもある。
告訴をする、受理させる、実際に処罰してもらう、
とても時間と労力のかかる作業だ。
告訴をするというのであれば単に費用的な面だけでなく、
そういった面についての覚悟も必要ということを忘れないことだ。
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